Column

【対談】

終活弁護士 伊勢田篤史 対談Vol.3 「経営者にとっての結婚の重要性」

村田弘子が、「継ぐ」をテーマに事業承継や家督承継に関連する様々なプロフェッショナルと対談する企画記事。
今回は、緊急事業承継ガイドブック「社長が突然死んだら」の著者である伊勢田篤史先生をお迎えし、公認会計士で且つ弁護士であり、『終活弁護士』で著名な伊勢田先生から見た、経営者家族が「社長が突然死んだら」というケースの事業承継の現実について、お話を伺って参ります。

経営者の結婚

華やかな世界に見られがちな経営者の結婚や恋愛ですが、弁護士のお仕事の範疇におそらく事業承継の話も考えてられているときもあると思います。また、結婚や離婚のご相談を受けたかもしれないということを期待しつつ、経営者にとっての結婚の重要性や伴侶を見極める際のポイントなどをお話伺っていけたらと思っています。

「英雄色を好む」ではないですが、経営者さんってモテる方が多いのかなと思うのですが。

いわゆる「やり手」と言われるような経営者さんはモテる方が多いのかなと思いますね。

経営者の方が婚活をされる時も、複数の候補者がいて最後に冷静になって見極めるみたいなこともよくあるんですね。
個人的にビックリしたのですが、社長が亡くなられた際に後継者が奥さんになるというケースは全体の4割程あるそうですね?

社長が亡くなられた時に奥さんが後継者になるというケースは3〜4割程あって、特に珍しくはないケースだと思います。

女性会員の方に「どのような人が良いですか?」と聞くと「経営者の方がいいです」と答える方が本当に多いんです。
経営者と結婚したいと思っている方は、近い将来自分が会社の後継者になる可能性があると思っておくことも大事ですよね。

経営者の奥様は、一般的なサラリーマンの奥様とは異なる視点で色々考えていかなければいけないと思っています。
中小企業の経営者の場合、相続手続きのほかに今後の会社への対応なども考える必要性があるので、一般的なご家庭よりもしなければいけないことが増えることになります。

また中小企業では銀行から借り入れをしているケースが多く、連帯保証がついているケースがほとんどです。例えば会社に1億円の借り入れがあったとしたら、夫の遺産と同時に連帯保証も相続することになるんですね。
このような場合、経営者の奥さんは相続放棄なども踏まえて判断する必要があります。このようなケースを考えると、経営者の方と結婚される方はそれなりの覚悟がいるのではと思いますね。

覚悟とか勉強とか知識とか、色々な可能性があるからこそ今のうちに準備をしておくだとか、そういうことがあるということを頭の隅に入れておいた方が良いということですね。

期待と現実

現在は再婚に対するマイナスイメージは少なくなってきていますが「経営者の男性が離婚した原因を聞きたい」という女性は意外と多いんですよ。
会員さんにも「お見合いの時に聞いても良いですか?」と聞かれるんですけれど、私は「本当のことは言わないと思うよ」と答えるんですね。

世間的なイメージでは男性の浮気が離婚の原因ってされてますけど、よく聞いてみるとそれだけじゃないのかもと思うことがあるんです。

私が見てきた中で離婚の原因として多かったのは、夫への束縛ですね。
例えば妻に「夜は早く帰ってきて」と言われても、経営者の立場上飲み会があって「夜、飲み会がある」と言っても「飲み会は遊びでしょ?」と返されてしまうんです。

経営者からすれば飲み会は人脈を広げる手段だと思っていても、妻には夫の意図が理解してもらえず、意見の食い違いが生まれてしまいがちなんですね。
経営者の奥さんがそのようなストレスを感じてしまうのは、その人が抱える期待と現実のギャップだと思います。「こうあるべき」とか「こうして欲しい」という期待があっても、現実がそれに追いつけないんです。

期待と現実の差を埋められれば感情も収まるのかもしれませんが、ギャップを抱えたままによるストレスや怒りが重なってしまうと、つい奥さんはご主人に辛く当たってしまうんですよね。
そんなお互いのすれ違いから、夫婦関係が難しくなるケースもあるのかと想像しますね。

経営者のお嬢さんで婚活をする方も多いのですが、9割以上の方が「お父さんを成功させたお母さんのような経営者の妻になりたい」という希望を持って婚活される若いお嬢さんがいらっしゃるんです。
そのような方は、小さい頃から経営者であるお父さんの姿を見ているので「大変だけどこの生活ができるのはお父さんがこうして頑張ってくれているからなんだ」と理解しているんですよね。

また、お母さんの姿を見て「仕事が大変なお父さんをお母さんが支えているんだな」と、経営者と奥さんの関係性を熟知したうえで、経営者の奥さんになることをある程度覚悟して伴侶を選んでいるのだと思っています。
逆に、経営者さんと結婚したいという方は、経営者の妻になる現実を理解してからお互いに結婚を決めた方が安心かもしれませんね。

同居前置主義

私は「同居前置主義」と言っているんですが、経営者でなくても結婚をされる際は、一緒に暮らしてみると今までのデートでは分からなかった新たな一面が見えてくることもあると思うんです。
経営者の方は普段の生活を見せる一方で、奥さんは彼の生活を見て納得できるかどうかというところが重要なのかなと。

期待と現実のギャップでも挙げた通り、経営者の奥さんは華やかなところがありつつも夜も遅いし家事もできないという現実もあるということを知ったうえで、彼への期待値を下げられればその後も平穏に暮らせると思うんです。
ただし、彼の普段の生活を見ても期待を下げることができなければ、お互いの幸せのために別々の道を歩むという形でも良いのかなと思います。

私は恋愛としての恋愛、結婚としての恋愛はそれぞれあるということをよく話しています。別々の道を歩むことになっても「恋愛至上主義の恋愛だったんだな」と感じて、大切な思い出にして頂ければ良いのかなと思いますね。

求められること

経営者の結婚相手にふさわしい女性は、芸能人ではどのような人が当てはまるのでしょうか?

会社の総務や経理を奥様に任せるケースですかね。「お金回りのことは全部分かっている」という奥さんも結構いらっしゃるので、正直に「すごいな」と思います。
あまり詳しくは存じあげないですけれど、メンバーや現場をマネジメントしていた元AKB48の総監督である高橋みなみさんなどでしょうか。

数字に強い人は、仕事でも活躍できる場面が多いのかもしれません。少なくとも信用して何かを任せられるというのは、1つの判断軸として持っていても良いのかもしれませんね。

魅力的な異性であるけれども、最終的には人としての信頼。または一緒に戦っていけるかどうかというところですかね。
事業の妨げになるのではなく、事業が末代まで繁栄するようなご結婚を進めて頂けるのが良いのかなと思います。

事業承継と絡めて弁護士で公認会計士である伊勢田篤史先生に「経営者の結婚」というテーマでお伺いしました。先生、有難うございました。

まとめ

経営者との結婚を望む方は多いが、理想と現実は違うもの。経営者を支える接し方、家庭づくり、子供への教育、実務サポートなど、事前に学び準備しておくことが重要。
そのためにも、恋愛至上主義ではなく、同居前置主義がおすすめ。

プロフィール

【伊勢田篤史プロフィール】

一般社団法人 緊急事業承継監査協会 代表理事/日本デジタル終活協会 代表理事

関連サイト
https://ceosuddendeath.com/

中央大学法科大学院卒業。“紛争解決”から“紛争回避”へ。法律と会計の経験知識とビジネスを生み出す発想力を併せ持つ行動派の弁護士・会計士。相続、デジタル終活対策、事業承継を得意分野とし、著書の出版やテレビへの出演など、メディア活動も積極的に行う。

【村田弘子プロフィール】

FORTUNA GROUP株式会社 代表取締役 良家のご縁の会/しあわせ相談倶楽部/経営者妻スクール 代表

関連サイト
会計事務所の2代目に嫁ぎ、20年間は3人の子育て、受験に東奔西走の日々を過ごす。その間にファイナンシャルプランナーの資格を取得。人生とお金のご相談にかかわるなかで、経営者様からご子息・ご令嬢の縁談を依頼されることが増え、2012年、結婚相談所「しあわせ相談倶楽部」を設立。全国の医院・士業・経営者から好評を得る。

良家のご縁の会 https://mirai-hiraku.com
しあわせ相談倶楽部 https://shiawasesodan.com/
FORTUNA GROUP株式会社 https://fortuna-group.co.jp/

コラム一覧へ 「今!2代目お坊ちゃん社長の逆襲が日本を救う!?」

良家のご縁の会の公式YouTubeチャンネルはこちら

良家のご縁の会チャンネル

良家のご縁の会では、「継ぐ」に関するあらゆるご相談にお応えしています。
お問い合せはこちらまで、お気軽にご連絡ください。

ご相談・お問い合せはこちら